おもちゃ映画ミュージアム
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2019.06.11column

「コレクションの行方」についての記事

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今日の京都新聞文化面の記事を、衝撃を受けながらも興味深く読みました。5月30日にこのブログで、「『文化』保存の話題、4つ」を書いたばかりで、引用した文章の文言を載せながら「『日本は文明的には先進国になりましたが、文化的には発展途上国』という位置から抜け出して、もっと『文化』を大切に考える国になってほしいと願わずにはおれません。」と結びました。しかしながら、「文化」保存問題は、もっと深刻な状況に進んでいるのだと、読みながら薄ら寒いものを感じました。多くの公的博物館の収蔵庫が限界に達し、記事で紹介された鳥取県の資料館「北栄みらい伝承館」のように、今後も続くであろう財政難から同様の動きをする自治体も現れるでしょう。限られたお金の配分では、おそらく命の危機に直結しない「文化」が最初に削減されるのは目に見えています。益々この国の「文化」保存が危いと暗澹たる思いです。

2月に東京大学で「コレクションを手放す」というフォーラムが開催されたというのも驚きでした。企画したのは、東京大学大学院生たちだそうです。博物館が何のためにあるのか、どうあるべきか、若い人たちから考える場を提案されたというのが素晴らしいです。予算も、人手も、保存場所もなければ、その後の選択肢に「手放す」も、となるのでしょうが、本当にそれで良いのか―。公的な博物館ですら、こうなのですから、個人で散逸を防ごうと歯を食いしばり、足を踏ん張り、やせ我慢しながらやっている小さなミュージアムは、「大切に思う、愛しく思う、次世代に残したい」その心だけで日々運営していますが、それもいつまで続けられるか、不安を抱えています。

うちのような小さくて狭いミュージアムでも、モノの保存場所に限りがあり、あれもこれも引きとれるわけではありません。より活かせる場があれば紹介しますし、引きとる場合は、元の持ち主の思いも引き受けることになるという責任感、覚悟を伴います。自治体の場合は、判断権を有するトップが「文化」に理解があるか否かも大きく左右しますね。「ソロバン」も大切ですが、「文化」にも理解ある教養人をトップにいただく自治体は幸いです。

5月19日に開催した講演会後の交流会で、「これからの未来を切り拓いていく大学生にこそ、聞いて貰いたいといつも思って安く料金設定しているのですが、なかなか参加して貰えない」とこぼしましたら、東京からお越しの博物館関係者が「東京の博物館や美術館も空いている。入場(館)料以前に、そこへ行くための交通費さえ持っていない人が多い」と聞いて溜息をつきました。入館料が減れば、かつての橋下徹・大阪府政時代のように、見直しが進められ、廃止になる館が現れるかもしれません。「文化的には発展途上国」のまま、これからも進むのかと思うと、悲しいです。

今年9月1~7日、「国際博物館会議 in KYOTO」が日本で初めて開催され、世界中から3000人を超える博物館関係者が京都に集います。記事に書かれたような問題をテーマに話し合われるのか否かまでは私にはわかりませんが、お寒い日本の博物館事情を公開し、世界から助言を貰いながら、何とか日本の「文化」保存に道が開けるようになればと願っています。

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