おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2022.02.27column

Uncle Sam's Projectorと紙フィルム「パンチ&ジュディ」

先日、宮崎県の豪商旧宅から見つかったフィルム幻燈機について書きましたが、昨日26日の催しで『チャップリンの幻燈会』上映と幻燈機の実演をするということで、英国と米国のマジックランタン協会員でもある岩田託子中京大学教授も参加していただきました。というわけで、今回も幻燈機の続き。

岩田先生は2019年にロバート・リーチ著『「パンチ&ジュディ』のイギリス文化史』(昭和堂)の訳本を出版されています。長年「パンチ&ジュディ」を研究されていて、昨年「『パンチ&ジュディ』の紙製フィルムをおもちゃ映画ミュージアムで見たことがあるので、もう一度それを見たい」と連絡を頂きました。紙製フィルムというので、てっきり反射して見るレフシーか家庭トーキーのことだろうと思い込んでいましたが、良い機会だと思い、改めて整理点検しながらリストも作成しました。もとより、この紙フィルムは日本独特のものですので、海外のキャラクターの作品が入っているわけがないとも思っていました。

「残念ながら該当するものはありませんでした」と連絡を入れたのですが、そもそも「パンチ&ジュディ」の絵が“この絵”とはっきりと認識していたわけでもなく、改めて岩田先生がTwitterで発信されている「パンチ&ジュディ」を見てみると、「はて、どこかで見た覚えが。。。」。

そうなんです、いつも座って仕事をしているテーブルのすぐ傍に置いているアニメーションを楽しむ道具に装填している絵が、まさにその「パンチ&ジュディ」でした‼余りにも近くにあり過ぎ、余りにもズサンに置いていたので、意識がスルーしていたのです。そして、反射式ではなく、透過して見るタイプの紙フィルムのことでした。

これが「パンチ&ジュディ」の紙製ロールフィルムです。

上下2段に分けて連続した絵が描かれていて、クランクをクルクル回すと、一方で紙が巻き取られ、光源によって上、下、上、下と順に絵が映し出されて動いているように見える仕組みです。

確か、本体はもっと大きくて、これは部分だと聞いたことがあります。「Durotone  Sound  System」と書いてあるのも気になるので、前回も書いた草原真知子先生に、教えて貰おうと写真を送りましたら、

素敵な草原先生コレクション「Talkie Jector」が届きました。阿佐ヶ谷の骨董市で購入されたのだそうです。羨ましい掘り出し物💖

草原先生所蔵「Uncle Sam's Projector」。当館のものとマークのデザインが違います。

二段にすることで上映速度を倍にするという仕掛けは、Talkie Jector という蓄音機付きの装置でも共通で、こちらも紙フィルム。上掲の当館所蔵のプロジェクターには、Duracolor Films とも書いてあり、この会社もレコード付きのモデルを出していたか、あるいは別売りで簡便なレコード再生装置を売っていたのかも知れません。どちらもアメリカのメーカーですから、競争相手かも知れませんと、草原先生。

私としては、蓄音機付のTalkie Jector のことを知ることができて、当館所蔵「Uncle Sam's Projector」の全体像がつかめたことが嬉しいです。

そして、もう1台蓄音機部分がない所蔵品(1930年代、アメリカ製)もあって、こちらは展示ケース内に保存しています。当館が所蔵するこれら2台の簡易アニメーションプロジェクターは、それぞれ元の所蔵者が上の蓄音機部分が壊れたので、下の部分だけを売りに出し、それが縁があってうちにやってきたのでしょう。

岩田先生には、前掲写真にうつる「パンチ&ジュディ」の紙製ロールフィルムを差し上げて喜んで頂きました。それだけで良かったのに、

交換にと、アメリカ製の紙製ロールフィルム4本をプレゼントして下さいました。早速そのうちの1本を装填しました。他にもこのようなロールフィルムが20本ほどあると連れ合いが申していますので、いずれこれらを用いて広くご覧頂く機会を設けられたら、活かせるなぁと思っています。

 

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