おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2022.03.15column

寄贈品のご紹介

1~2月に開催した喜劇映画研究会45年記念「喜劇のレジェンド展」でお借りして展示していた上掲額装ポスター。新野敏也代表から寄贈していただきました。600ミリ×900ミリの 「全倍」サイズというのでしょうか、大きなポスターです。「公開当時のポスターを完全復刻したもので、写真製版による三色分解のコート紙印刷。サイズは原寸大」だそうです。貴重なコレクションを譲っていただきありがとうございます。

ちょうど連れ合いが昨秋手作りした自転車置き場案内板と呼応して、良いですねェ。「フォトスポットになれば」と思う一方で、「なぜ、ハリウッドの方向を示す必要があったのか?」という疑問もわいてきますが、これを言うとまた夫婦げんかになるので。。。

こちらは、村川 英城西国際大学元教授から寄贈いただいた文庫本『新版 成瀬巳喜男演出術 役者が語る演技の現場』(ワイズ出版)。3月24日に出版されたばかり。

1997年に刊行され、2004年に再版された『成瀬巳喜男演出術 役者が語る演技の現場』(参考に手元の1997年第1刷)を全面的に改稿され、さらに新たな文章を加えて出版されました。

2019年7月18日に初めて来館頂いた時、話の花が満開になり、翌年6月28日に講演「成瀬映画の女優たち 成瀬映画の技法とデティール」をしていただきました。これらの嬉しいご縁で、私にもインクのにおいが芳しいピカピカの本を送ってくださったことを大変嬉しく思っています。

ページを繰りながら、インタビューをされている先生のお顔が思い浮かび、楽しく読み進められます。2020年の講演会はこの文庫本出版の完成を祝って春にするつもりでしたが、ワイズ出版岡田博社長さんの体調が懸念される状態で出版が遅れ、ついに2021年8月27日72歳でご逝去。本の出版がどうなるのか案じていましたが、無事に出版されて良かったです。きっと天国の岡田社長様も約束を果たせたと喜んでおられることでしょう。

國友万裕さんが2021年3月5日に出版された『マスキュリニティで読む21世紀アメリカ映画』(英宝社)です。京都大学や同志社大学などで非常勤講師を勤めておられ、専門はアメリカ文学・映画・ジェンダー。本書を手にするまでは知らなかった単語“マスキュリニティ”は、男性性・男らしさのことだそうです。ジェンダーの問題を前提にして、21世紀のアメリカ映画を考えてみようという本。なぜ、アメリカかというと、「アメリカは“マチズモ”(男っぽさの誇示)の国」だと言われていて、「『男は強くなくては』という意識が日本よりもはるかに強い」「ハリウッドは、今でも一貫して男性中心主義を死守」と國友さん。そのハリウッドで作られる映画が時代の流れに沿って描き方がどう調整されたのか、ジェンダー表象が変わったのかを見ていきます。

そして、二日前にサポーター会員継続に来館いただいた長浜さんからプレゼントしていただいた木村元彦さん著『13坪の本屋の奇跡 「闘い、そしてつながる」隆祥館書店の70年』(ころから、2019年11月25日初版、2021年4月10日第3刷)。長浜さんは、この本にもお名前が登場していて、活弁上映に魅せられたお一人として来館頂き知り合いました。

うちに来られるお客様の中にも、この本屋さんのファンが幾人もおられます。創業者二村善明さんの「本を読むことで地域の人たちのリテラシーが高まる、本を読んでもらいたい」という志がお嬢さんの知子さんに引き継がれています。実物の知子さんにはまだお会いしていませんが、とても美しい方です。何と「シンクロの母」といわれる井村雅代さんの最初期の愛弟子で日本代表として活躍された方でした。そこで学ばれたのは「八方ふさがりで窮地に陥ったときも決して諦めない。生き残るために他に道は無いか、考える。そして行動する。『敵は己の妥協に在り』」だそうで、書店を経営していく上での指針となっているそうです。

この本で、書店の利益は定価の2割前後なのだということを初めて知りました。一冊でも盗まれてしまうと5、6冊分の売り上げがあっという間に吹っ飛んでしまうのです。本屋さんにとって盗難対策は死活問題だったのですね。もっと知られても良いことだと思いました。まだ、読み切っていないので、楽しみながら読み進めます。

以上最近寄贈いただいたポスター、本の紹介でした。お声がけいただければ、お手に取って館内でご覧いただけるようにします。お気軽にどうぞ。

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