おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2016.08.12column

学研刊『日本特撮技術大全』の寄贈を受けました!

巷では、7月29日に公開されゴジラシリーズの第29作『シン・ゴジラ』(東宝)が大きな話題を集めています。私も1日にIMAXバージョンで観てきました。8日にアニメ製作ワークショップに参加した小学1~4年の子どもたちも、会話の中に度々「シン・ゴジラ」の名前が出てきましたから、子どもから大人まで、魅了されているのでしょう。

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 子どもたちは、暖簾の後ろにカクレンボしている「シン・ゴジラ」を横目に見ながら、児童館まで帰っていきました。アニメ製作で子どもたちは、持ち寄ったレゴやおもちゃを少しずつ動かしながらコマ撮りして、自分たちのお話を形作っていく面白さに目を輝かせていました。同じように大人たちが、最新のCG技術と巨額の資金を投入して作り上げた一つが『シン・ゴジラ』。

そのゴジラシリーズを始め、ウルトラシリーズなど日本特撮の秘術を徹底解明した本『日本特撮大全』が、映画公開に先立つ7月26日に㈱学研プラスから発売されました。厚さ5センチもある立派な本です。

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初回限定特典として、撮影用台本のレプリカがついていて、『ゴジラVSビオランテ』は、川北紘一特技監督が使用されていたもの、『三大怪獣 地球最大の決戦』は、初公開だそうです。執筆者の一人、高槻真樹さんが書かれた「日本特撮前史」に参考写真として、当館所蔵チャンバラ映画『怪傑鷹』(1924年)を提供したことから、寄贈を受けました。鳥人と呼ばれた高木新平という役者が演じています。

特撮といえば円谷英二を思い浮かべますが、彼の師と言われているのが、枝正義郎という人物。枝正と美男俳優の澤村四郎五郎が組んだトリック撮影の天然色活動写真(天活)と、「目玉の松ちゃん」こと尾上松之助と彼を発見した牧野省三(日本映画の父)が組み大量の忍術映画を作った日本活動写真(日活)は、主に1910年代盛んにしのぎを削りました。そのあとに前述の『怪傑鷹』が出てきます。約90秒しかない断片ですが、高槻さんによれば、ハリウッド映画の『怪傑ゾロ』などを模倣したとみられ、後の『仮面ライダー』の画面作りに技術継承されたのではないかと述べておられます。

『シン・ゴジラ』の特撮が注目されていますが、その最初は1910年代の日活と天活にあったのですね。でも、残念なことに当時のフィルムはほとんど残っていません。澤村四郎五郎の作品は未だ見つかっていませんが、ひょっとしたら昨年発見された尾上松之助最晩年の『(実録)忠臣蔵』の例のように、どこかの蔵から見つかることが無きにしも非ず。そう祈っています。

8月25日には、アメリカのカルフォルニア大学で映画を学ぶ学生さん27人と教授が来館され、その『(実録)忠臣蔵』と京都のフィルム事情について学ばれる予定です。タイムリーに、この本を寄贈いただいて、双葉マーク学芸員の私は予習ができ喜んでいます。

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