おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2017.07.18column

6月25日、「古川タクさんのお話と作品上映会」

古川タクさんA - コピー日本アニメーション史の第一人者、渡辺泰先生はいつも私共の知恵袋的存在。その先生から「6月に日本アニメーション協会会長の古川タク先生が祇園のギャラリーフク和ウチで個展『一茶のセンス』をされるから、ぜひ訪れ、そしてミュージアムを案内して差し上げたら喜ばれるだろう」という内容のお便りが届きました。そのことを5月21日に開催した国産アニメ―ション誕生100周年記念上映会「下川凹天トリビュートアニメーション&現代のアニメーション作家たち」後の交流会で話したところ、複数の人から「ミュージアムで何かしてもらえないか頼んでみると良い」との意見が出ました。

私共に面識はないのですが、いつものダメもとの精神でネットで検索したアドレスにメールを差し上げました。どこの誰ともわからない奴からのメールに応えてくださるはずもないだろうと思っていたのですが、意外にも「やりましょう」との返信がすぐきました。

開催日は6月25日と決まったのですが、その後のメールで私が「一茶」と「一休」を勘違いしたメールを差し上げたからかお返事がなく、幾日か悶々とする日が続きました。「でもチラシを作るのに時間がない」と思い切って早とちりの非礼をわびるメールを差し上げたところ

……………………………

大丈夫ですよ。
よく間違います。

だいたいみんな 一茶、一休、良寛、この3人のイメージがダブってます。
一休、良寛、はお坊さんです。
一茶は信濃の百姓のこどもで 俳人ですが坊さんではありません。
よくこどもに囲まれて 動物好きの良いお爺さん風に扱われますが、これがとんでもないジジイなんです。
なぜ俳諧の道に入ったのか?とこの辺りから物語が始まるわけです。

25日予定してます。なにかちらしのようなもの作りますか?

………………………………

との返事が届き、一安心しました。これまでの作品データをお送りいただいて、無事上掲ちらしを作ることもできました。

先生は今年10月公開予定の吉村芳之監督映画『一茶』のエンドロールを担当されました。それなのに、粗忽者の私は「一」の漢字に早合点して「一休寺の傍に住んでいますから、良ければご案内します」と書いてしまったのです。出会う前から、こんなですから、きっと先生呆れておられたのでしょう。

初対面は個展初日の9日。その時の様子はこちらで書きました。京都新聞にもお知らせを書いていただき、そして、迎えた25日。

IMG_20170620_0001 (2)先生のお話と作品上映を楽しみに人々が集まってくださいました。

DSC01240いろんな種類の短編を時代を追って見せていただきながら、その時々に感じたことなどをお話くださいました。1975年の『コーヒーブレイク』は、セルを切り抜いて1枚ずつ貼っていく大変な作業だった。1980年の『スピード』はスポンサー付きのフィルム。高速社会と人間を線画で表現。昔は撮影の撮り直しは簡単にできないし、すぐに直せないし、時間がない。フィルムで作っていたころは、人手も時間もかかるからと、つい見逃した個所は、何十年たっても、同じところを通過するたびに悔やむ。今は簡単に直せるので、後で悔やむことがないよう直した方が良い。『ターザン』はバブルの終わりごろ。アフリカから帰ると、東京の方がよほどコンクリートジャングルだと思った。ソニーのハンディカムができた頃。

DSC01254 (3)『上京物語』は小津安二郎の『東京物語』のシチュエーションを借りた作品で、この作品からデジタルになった。流行りの携帯電話が描かれ、その時代に作られたものがアニメーションにも出てくる。『TEDDY』は湾岸戦争、イラク戦争がテレビゲームみたいにテレビで戦争を目撃できるのにショックを受けて制作。…等々、作品への思いを丁寧にお話くださいました。当たり前のことではありますが、「上には上があるなぁ。どの作品も上手だなぁ」と心底思いました。作品に込められたメッセージも、伝わってきます。たくさんの素晴らしい作品を見せていただき、本当によい時間でした。

DSC01261 (2)先生は私共の秘かな願いを察して、9日にお渡ししたフィルムに黒の油性ペンで絵を描いてきてくださいました。手に持っておられるのが、そのフィルム。そこで、サプライズ上映会、はじまり、はじまり。「どんなふうに見えるのか楽しみだ」と先生。

IMG_5684 (2)フィルムを繋ぎループ状にして、おもちゃ映写機に装填。

IMG_5699 (2)

古川先生手描きのアニメーションは、こちらでご覧ください。先にも書きましたが、今年は国産アニメーションが誕生して100年。今のところフィルムが現存する日本最古のアニメーション『なまくら刀』(1917年公開)に出てくる主人公の侍によく似た『なまくら力』の忍者編、90コマ。背景の石垣を一コマずつ描くのが大変だったとか。どうも、ありがとうございました‼

DSC01266 (2)そして、恒例の記念写真。

DSC01269 (3)和やかな交流会で楽しんでいただきました。

DSC01271 (4)せっかくなので、私共も記念写真を一枚。とても優しくて、気さくな先生でした。出会いに感謝です。

6月19日に渡辺先生からいただいたお便りに、「上映会のご成功、お祈りいたします」と綴られていましたが、先生の祈りが届いて、無事盛会裏に終了することができました。渡辺先生は2014年秋に文化庁メディア芸術祭アニメ部門で文部科学大臣賞を受賞されました。2015年2月、東京六本木の新国立美術館で授賞式があった時、アニメ部門の表彰状は文化庁長官から、大きなトロフィーは古川先生から手渡しで受け取られました。「さすがに感激で胸にグッと来るものがありました」と、その時の思い出を綴っておられます。その古川先生を紹介して下さり、上映会まで開催することができたことを、先生は自分のことのように喜んでくださっています。とてもありがたいことだと、感謝でいっぱいです。

 

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