おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2015.06.20column

古くて新しい

先日来館された千葉県からのお客様。いろいろ話していて印象に残ったのが「選択肢が広がった」という言葉です。展示しているさまざまなマジックランタン、玩具映写機などは、かつて世界各地のご家庭で楽しまれた古い物たちばかりですが、実際に映写してみると手触りの感触と映像がどこか「懐かしい」。デジタルの0か1かの世界では味わえないもの…。忙しない日常から、ふっと立ち止まって、深呼吸してみる。「古い物が好きで、仕事の合間に日本中を旅している」という男性の言葉から、アナログの魅力に改めて気づかせてもらいました。

「亡くなったおじさんが愛したクラシックレコードとオーディオセット」を友人から寄贈してもらい1階に置いていますが、レコードも好きだという男性に、所在無げに数個の段ボール箱に入ったままのオープンリールを見ていただきました。広いようで狭いミュージアムにあって、知識がない私は、その置場に正直困っていました。箱を開けて見るなり1缶を取り出し、「これは録音されていない!敢えてオープンリールに録音する人たちがいて、今これを探している人がたくさんおられますよ」との言葉にビックリしました。もう生産されていないオープンリールを求めて骨董市をのぞいている人たちがおられるなんて、想像もしなかったことでした。古いフィルムを求めて骨董市をのぞく連れ合いと重なる情景です。

「機械化が進み、行くとこまで行ったから、回帰でしょうか?」と尋ねる私に返ってきた言葉が、、先の「選択肢が広まった」でした。男性は前日の百万遍の手作り市へも行ってきたそうで、出店していた「からくりおもちゃ」の店で実演が始まった途端、大勢の人が集まってきて見入っていたのをみて、「からくりおもちゃも単純だけど、奥が深いなぁ」と思ったそうです。

「あれかこれか」ではなく「あれもあってもいいし、これもあってもいい」という感じ。古くて新しい楽しみ方が広まっていると教えて貰いました。

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オープンリールの良さを教えて貰った今、できれば聴いてみたいと思う勝手な私。どなたかデッキをお持ちではないでしょうか?お客さまと一緒にその音を楽しめる瞬間が訪れることを楽しみにしています。

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それから治療を待つトーレンスのターンテーブルは、ドクターの来館が1週ずれ、6月28日になるとメールが来ました。ドクターのお名前は、以前来館いただいたロナルド・サントスさん。オーディオの修理が大好きな方です。私にとっては、いろんな人との出会いが一番の楽しみです。

 

 

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