おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2015.06.29column

9.5㍉フィルム

先週来館された若い女性は、館内に入るやいなや「9.5㍉の映写機はありますか?」と一言。そんな質問をいきなりされたのは初めてのこと。いったいどんな方なのだろうと興味を覚え、話しかけました。

今、イェール大学東アジア文学・映画研究博士課程の森末典子さん。ここを訪れたのは大学の指導教官から紹介されたからだそうです。米国の先生がそのように思っていてくださるとわかっただけでも光栄です。彼女は東京でOLをしておられましたが、一念発起して今米国留学中。今秋から3回生で、夏休みを利用して里帰り兼資料収集のため日本へ。立命館大学所蔵資料を調査しての帰りに立ち寄っていただきました。時間を費やしてコピーされた資料を見ながら、逆に「そういった資料」の存在を教わりました。

せっかくの機会だからと、9.5㍉の映写機で臨時上映会。

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そう遠くない時期に9.5㍉の上映会を計画していたので、丁度良い予行演習。右端が7月初めに開催される台北国際映画祭に参加される活弁士の大森くみこさん、中央が森末さん。米国で9.5㍉の映写機を観るためには何時間も移動せねばならず、しかも映写機に触れることなどできないそうです。「実際に触ってみられるなんて、夢のようです」と彼女。

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9.5㍉の映写機。ゴムが劣化して取り替えています。他にも手先が器用な連れ合いが修理した映写機が多々ありますが、手動式のものはともかく、電気で動く古い映写機はなかなか難しいです。

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9.5㍉のフィルムの真ん中に、パーフォレーション(送り穴)があります。

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日本やフランスの作品を一緒に観ました。「嬉しい!」と興奮気味の彼女の様子に、こちらも良いことをしたと嬉しくなりました。そして、互いに約束しました。来年の今頃、彼女の研究の成果をここで発表して貰いながら、9.5㍉の正式上映会をすることを。「頑張ります!!」との言葉に嬉しくなって、早速来年のカレンダーに予定を書き込みました。ご期待ください。

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そして、活弁士の大森くみこさんも、玩具映写機の操作を勉強。本番では、復元した戦前の日本アニメを編集した「怒涛のおもちゃ映画特集」を上演されるほか、玩具映写機を使って当館のPRもしてくださるそうです。本番でも落ち着いて、本領発揮してほしいと心から願っています。7月26日(日)午後、当館でその帰朝報告会を若手映画研究者・羽鳥隆英さん(神戸映画資料館)のお話と大森さんの活弁付で再演して貰います。こちらもご期待ください。

映画に関心を寄せる若者が、この場も契機にして世界に羽ばたくのを見ることができるのは、大きな喜びです。

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