おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2015.06.21column

撮影場所判明

昨夕、ふらりと入館された男性。「近くの武信稲荷神社へ行ってみようと歩いていたら、たまたま目に入ったので」とのこと。特に映画に興味があるわけではないそうですが、一通り説明した後、一緒におもちゃ映画を編集した「ちゃんばら時代」をご覧いただきました。その中の1本、市川百々助主演「恋の簪(かんざし)」(昭和2〈1927〉年)を見ながら、「どこで撮影したのでしょうね?」と尋ねました。「南禅寺でしょうかね。よく撮影につかわれていましたから」「帝キネ(帝国キネマ演芸)の作品だから、大阪か奈良のどこかだと思うのですが」と言った途端、「あっ!東大寺や。南大門の石獅子が見えた」と返ってきました。

19乱刀閃ク2

そう思ってみたら、なるほど、建久7(1196)年に石工集団「伊派」の始祖・伊行末ら4人で造った石獅子が見えました。でも、南大門は屋根が下がり、何本ものつっかえ棒で辛うじて支えられていて、とても今見る荘厳な東大寺南大門とは違う様相。年表で確かめてみると、昭和2年に南大門の解体修理がなされていますから、映画のチャンバラ立ち回り舞台は修理がなされる以前の様子を伝えていることになります。

昨年2月に正倉院正倉整備工事現場見学会に行った折り、大正2(1913)年修理工事前の写真が掲示してありました。同じように軒が重く、何本ものつっかえ棒で屋根が支えられて痛々しいです。当時は映画全盛期。南大門が映画の撮影場所に利用されたことは、莫大な費用が必要な修復に活かされたのではないでしょうか。

様々な趣味をお持ちの方が来館され、お話を聞くのが楽しみなので、件の男性にもお聞きしました。「いやー、特にこれっていうのいはないですけれど、社寺めぐりが好きで、随分前から朱印を集めています」との返事。「一体どれくらい集められましたか?」の問いに返ってきたのが、なんと「97冊」。全国各地の社寺をめぐり歩いたそうです。私で4冊目。それでも多いと思っていたので、びっくり仰天。

「じゃ、100冊になったら、ここで乾杯しましょう!」と提案すると、「今年中に達成できると思うので、きりが良いからそれでやめようと思っています」との返事。でも話しぶりから、きっとやめられずに、101、102…と続く様子が想像できます。マニアとはそういうもの。「朱印帳展というのもおもしろいですね」と追い打ちを掛けました。

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