おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2018.01.12column

イラン・グェン東京藝大大学院特任准教授と見る『凸坊の猛獣狩』と「驚き盤」コレクション

昨日のブログで、オーストラリアで見つかった35㎜おもちゃ映画について書きました。予想通り、初期日本アニメーション作家、木村白山の『凸坊の猛獣狩』(1929年)でした。

内容そのものは、当館所蔵フィルムと同じものでしたが、異なる点が2つありました。玩具の販売メーカーの違いかもしれません。

DSC03761 (2) - コピー1つは、当館所蔵のものはモノクロなのに対し、

DSC03774

オーストラリアで見つかったものは、全体にブルーのトーニング(調色)が施されています。

写真は、日仏会館での講演の前に立ち寄ってくださった東京藝術大学大学院映像学科アニメーション専攻グローバル・サポート・センター特任准教授のイラン・グェンさん。所蔵されていたアニメーションのおもちゃフィルム「のらくろ鬼大尉大空突撃隊」「タンクタンクロ突撃隊」「キチキチ小僧漫遊記」などの玩具映画を以前復元させていただいた縁や、昨年6月のアニメーション・パレットの上映会でもお世話になった先生です。

当時セルが高価だったので、日本ではこの時期、切り紙を用いてアニメーションを作っていました。「動物たちが、次々回転しながら出てきますが、転げるところの動きはお腹を見せるように工夫するなど、面白みがあるように丁寧に作っていますね」とイランさん。

2つ目は、「終」の文字の違い。DSC03797 (2)

当館のものは、他の所蔵作品と見比べて「朝日フィルム」かもしれません。縦の線はフィルムの傷です。

おわり

オーストラリアのものは、他の作品と見比べた結果「キング・フィルム」かもしれません。

なお、デジタル化した際の映写スピードの差により、当館のは40秒、アーストラリアのものは30秒と差がありますが、絵的な差は見られませんでした。双方同じ原版からの完全版おもちゃ映画でした。

DSC03780館内には、今も1985年第1回広島アニメーションフェスティバルで著名な作家さんたちに描いてもらった「驚き盤」の一部を展示しています。この「驚き盤」の功労者である秋山好正さんとも旧知の間柄。そんな話をしているうちに、ふと思い出して、後日新たに秋山さんから預かった76枚の「驚き盤」の作者名を教えて貰おうと依頼しました。11月にアニドウの並木たかしさんが来られた時に随分教えて貰ったのですが、まだ判明していない作家さんのサイン解読に協力して貰いました。イランさんの友人や先生筋の人たちの「驚き盤も」含まれていました。いずれ、これらの作品もご覧いただく機会を設けたいと思っています。

DSC03783

丁度、東京の喜劇映画研究会代表新野敏也さんからプレゼントが届きましたので、一緒にティータイム。

DSC03785

生クリーム、バターたっぷりの冷凍ケーキ。温かい紅茶と一緒に美味しくいただきました。お心遣いに感謝です!

夕刻、「ミュージアムのことを紹介してきますよ」とおっしゃりながら日仏会館へ向かうイランさんを見送りながら、時のたつのも忘れておしゃべりをして、楽しい時間を過ごせたことを嬉しく思いました。

今日一番「あっ痛!」と思ったのは、当館で作った前述1985年「驚き盤」の動画のこと。「1コマずつ撮ったのに、何だかきれいに見えない」原因が私自身にあったことがわかったからです。無知ゆえに気付かなかったコマを合わせる位置の問題でした。理由がわかったので、次はうまくやります!けれど、優しいイランさんは「これも、充分動きの面白さがわかって良いですよ」とおっしゃりながら、「広島アニメ-ションフェスティバルの驚き盤」のDVDをバッグに仕舞ってくださいました。次はもっと上手に作ってプレゼントし直します、きっと!

 

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