おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2018.10.18column

夢のよう!!!二つの国で上映された『突貫小僧』

奇しくも今日10月18日(木)に小津安二郎監督『突貫小僧』が二つの国の無声映画祭で上映された様子を知ることができました。

一つは9月1日にフィリピンの第12回マニラ国際無声映画祭で上映された時のもの。今晩22時から放送のNHKBS1「国際報道2018」の中での「フィリピン人初の弁士」。詳細については、昨日ご案内した新着情報で書いています。

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誘拐された子どもが、逆に誘拐したおじちゃんをからかう喜劇。

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 民族楽器の笛で無声映画に合わせて演奏するTanikala Tribeのメンバーの一人。それぞれの国で固有の音楽を用いて演奏されるのも良いですね。

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左下が、今回初弁士を務められたチト・ジェノヴァ・ヴァリエンテさん。大学で日本の映画や文化を教えておられる先生で、昨年同映画祭で片岡一郎さんの活弁を聞いて感動され、自分たちで活弁上映ができるよう練習を積み重ねられたのだそうです。

全体は英語なのですが、この部分は「ウウィー・ナ・アコ・ウィ・ナ・アコ」とタガログ語で活弁されると、会場の人々は本当に嬉しそうに手を叩いて喜んでおられました。一気に余所の国の映画が身近に感じられたのでしょう。

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NHKのこの番組のキャスターは「私は無声映画を観たことがない」と話しておられましたが、良いものなんですよ。ぜひ語りと生演奏で楽しむ一期一会の無声映画ライブを楽しんでいただきたいと思います。京都映画祭から引き続き京都国際映画祭ではたくさんの無声映画プログラムを毎年用意しています。大学で活弁のことも教えているというヴァリエンテさんの教え子が、やがてこの映画祭で魅力的な活弁を披露して下さる日が来るかもしれませんね。

当日は500人もの観客が会場を埋め尽くしていました。多くの方が興味を持って詰め掛けてくださったことに感動しました。それぞれの国の言葉で、固有の演奏で無声映画を楽しむ文化が広がれば良いなぁと思います。

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とにもかくにも、ヴァリエンテさんの、この表情からも達成感が伝わってきます。日本文化への愛の深さが番組を通してビンビン伝わって来ました。見ているこちらも嬉しさの伝染で、「これからもっともっと無声映画の保存と活用に努めなければ」という思いを強くしました。

9月28日に周防正行監督最新作『カツベン(仮題)』のキャストが発表されました。主演は若手注目俳優の成田凌さん、ヒロインは黒島結菜さんで、来年12月公開予定だそうです。早速29日東京都写真美術館へ伺う前に、フィルムを調べておられる笹山さんに案内して貰って、浅草の弁士塚にお参りに行って来ました、興業の成功を願って。

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たくさんの弁士さんのお名前が刻まれていますが、時代が変わった今は主になって活躍されているのは10人くらいでしょうか。周防監督の映画が起爆剤になって活弁士さんにも興味を持つ人が増えれば良いなぁと願います。

そして、二つ目は10月12日イタリアの第37回ポルデノーネ無声映画祭で上映された様子を写真で送ってくださったアメリカのロチェスター大学教授ジョアン・ベルナルディさんからのメールで。上映前のご案内記事はこちらで書きました。

Pola Negri 女優

せっかく当館所蔵の映像が上映される名誉な映画祭でしたが、京都国際映画祭と重なって直接見聞はできませんでした。でも、こうして、上映に際して大変尽力して下さったジョアンさんんのおかげで、その様子に触れることができます。。女優のPola Negriさんの写真が目を惹きます。

Teatro Verdi 右

この右の建物が上映会場のTeatro Verdi.Teatro Verdi

Teatro Verdi.

Teatro Verdi 入り口

その入り口。

Teatro Verdi 中

立派なホールですね。世界中から無声映画ファンが詰めかけます。

Preview reel

リハーサル風景

Preview reel 3

こちらもリハーサル、そして、いよいよ本番上映。

映画上映中 - コピー

熱心な無声映画ファンの皆さまに、「おもちゃ映画ミュージアム」のことを知っていただく貴重でありがたい機会となりました。

映画上映中3

小津安二郎の喜劇映画『突貫小僧』をご覧いただくことができて、本当に夢のようです。ジョアンさんは、「12日の上映は大成功でした。とても混んでいて、笑いがいっぱいありました。観客の皆さまが楽しみました」と書いてくださいました。ジョアンさん始め、DCPにして下さったロチェスター大学の皆さまに心より感謝申し上げます!!!

Gelatoマニラ、ポルデノーネと続き、次は、どこでこの作品を楽しんでくださることになるのでしょうか。無声映画の楽しさ、素晴らしさが国境を軽々と越えて、もっともっと広がっていくことを心から願っています。

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