おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2021.01.09column

無声映画『修羅八荒』の映像とSPレコード

今日上映の学生映画『アップル・スピリット』を観に来て下さった中川文博さんは、10月23日に次いで二度目の来館。林健二郎監督の本作では、音楽で協力されたのだそうです。寒波襲来のなか、ようこそ。明日は林監督が来館の見込みです。

上映後に、他のお客様も一緒に開催中の『活動写真弁士の世界展-日本映画興行の始まり-』を見て貰いました。中川さんが「レコードは知っているけど、蓄音機を見たのも聴いたのも初めて」だというので、所蔵し展示もしている『修羅八荒』のレコードをかけて体験して貰いました。そこで暫し、蓄音機談義。

内外蓄音機商會より発売された二枚組「内外レコード」。山錦城活弁で、片岡オーケストラ團演奏。囃子は杵屋連。京都二条城の御金蔵から4千両の御用金が盗まれ… ということで、身近な場所を舞台にした行友李風原作時代劇。

「せっかくなら映像も見て見よう」と提案して、みんなで鑑賞。といってもおもちゃ映画なので、僅か1分。主演は月形龍之介。

主演の月形龍之介と後ろ姿がマキノ正博。人気になった作品は、このように上映後に動きがある部分のフィルムを切って缶に入れて、家庭用に販売していました。

今日受け取った郵便の中に、先日パテ・ベビー映写機などを寄贈して下さった故・塩澤一さんの奥様から上掲新聞記事スクラップが届きました。1月7日付け朝日新聞紙面に掲載されたもので、国文学者の中西進先生が子どもの頃の思い出を綴っておられます。「代わりに夢中になったのが、買ってもらった小型の電動映写機のおもちゃ。チャンバラものだとか数分間のフィルムも缶入りで売られていて、本格的でした。西荻窪の映画館でみた活動弁士のまねをして、得意になって友だち相手に上映会もしました」。中西先生もおもちゃ映写機で遊んだ記憶が深く脳裏に刻まれているのですね。昨年亡くなった大林宣彦監督も同様でした。

弁士のまねをして」という言葉をこの記事で初めて確認しました。今までは「黙って見ていた」と思い出をお聞きすることが多く、きっと弁士擬きの声色を使って説明しながら親や兄弟や周りの大人が映写していたのだろうと推測しつつ、ついぞその証言を得たことがなかったのです。

偶然ですが、この記事は7日夜に友達が「読まれましたか?」と知らせてくれたものと同じでした。残念ながら読んでおらず、写メで送ってもらいました。奥様に御礼の電話をすると「記事を読んで急いで送ってあげようと思いまして。そうですか、読みたいと思っておられた記事だったのですね。それは良かった。きっと一マジックなのです」とおっしゃって。「きっとそうですよ、一マジック」と私も嬉しくて、そう返しました。奥様は、中西先生の思い出に綴られた映画館があった西荻窪で生まれたのだそうです。

「実物は残っていなくても、たくさんの記憶を持っていらっしゃることしょうね」と奥様。調べ物でいつも行く京都中央図書館で、偶然中西進館長さんをお見かけしたことがあります。今度そういう機会があれば、おもちゃ映写機の写真をお見せしたいなぁと勝手に夢を見ています。

 

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