おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2021.05.14column

『茶目子の一日』の平井英子さんの訃報

今朝の京都新聞に載っていた平井英子(ひでこ)さんの訃報。亡くなっていたのは2月21日ということですから、随分日が経っていたのですね。

それにしても、104歳とはすごく生命力の強い方だったのですね。とここで本当は「ご長命だったのですね」あるいは「ご長寿だったのですね」と書こうとして、どちらが良いかとネットで検索したら、その二つの言葉の意味が異なっていました。

「長命とは、ただ長生きしていることで、
長寿とは、身の回りのこともしっかりと出来て元気に生きていることだそうです。」

平井さんは、後者であって欲しいと願っています。

開館して1年も経たない2016年1月、大阪で大森くみこさんの活弁と歌で上映された『茶目子の一日』をみて、余りに面白いので「あれ、最高に面白かったわ‼」と申しましたら、「あれ、おもちゃ映画ミュージアムにもありますよ」と教えられて。うちにあるのは、ちょっと短いバージョンだったようですが、全くうっかりしていました。

当館にもある『茶目子の一日』の映像は、1931(昭和6)年に、西倉喜代治さんが作画監督として作られたシュールなアニメーションです。佐々紅華さん原作の童謡『茶目子の一日』は、歌手:東京の七声歌劇団、木村時子さん、天野喜久代さんで1919(大正8)年に作られましたが、1929(昭和4)年4月に童謡歌手平井英子さんの歌で大ヒット。それを受けてアニメーションが作られたのです。

余りに『茶目子の一日』が好きすぎて、もっと多くの人にも楽しんで貰いたいと思いました。それで、安井喜雄・神戸映画資料館館長に映像をお借りして、うちの映像と比べながら、双方の状態の良い映像を用いて再編集し、2018年4月に正会員とサポーターになって下さった方に御礼としてお渡しする特典DVDを作りました(非売品)。その時のことは、こちらで書きました。

欲張って、当時の音源と映像をあわせたオリジナル版と坂本頼光さんと大森くみこさんの掛け合いに、天宮遙さんのピアノ演奏という2種類の『茶目子の一日』を楽しんでいただけるように工夫しました。

音源で協力してくださったぐらもくらぶさんのサイトはこちら。何度も何度も聞いたこのアルバムには、平井さん出演のものも含め4種類の『茶目子の一日』が収録され、他にも映画化まではされなかった『茶目子の一年 お正月の巻』『茶目子の一年 クリスマスの巻」も含まれていて、茶目子がいっぱいで、本当に楽しいです。

訃報の記事を目にし、久し振りに聴いてみました♪ ずっと温めていたこれらの音源を使った「茶目子まつり」、いつか実現したいと、改めて思います‼

【5月16日追記】5月16日付け毎日新聞1面コラム「余録」は平井英子さんの訃報について書いてあり、そこでも『茶目子の一日』について触れていました。毎日映画コンクールのアニメ部門「大藤信郎賞」にその名が残る大藤さんの短編アニメ『黒ニャゴ』(1929年)も平井英子さんのSPレコードの歌に合わせて上映されたとあったので、YouTubeで検索。『黒ニャゴ』の他に、同じ大藤さん作画の『村祭』(1930年)や大石郁雄さん監督の『証誠寺の狸囃子』もありました。本当に時代を超えて愛される歌声と作品たちです。

 

 

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