おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2021.08.19column

7月展示、映画『祇園祭』資料展に関連して

京都新聞に昨日に続き今日も、7月に展示した映画『祇園祭』資料展に関連した記事が載っていました。

18日付け文化面に載っていたのは、7月の映画『祇園祭』資料展でもお借りした山本明コレクションについての記事。『人文學報』116号には、山本明さんの写真が載っていなかったので、几帳面に大量(衣装ケース110箱分)の資料を残しておられたのは、この方だったのかと親しみを感じました。この方のおかげで、映画『祇園祭』上映製作協力会ニュースの第5号を読むことができました。残念ながら、第3号と第6~8号は含まれていませんでした。どこかに眠っていないかしら?

コレクションには『祇園祭』に関してもたくさんの資料がありましたが、展示場所が狭いので、第5号の他に、チケットやポスター、見開きの新聞記事などをお借りしてご覧頂きました。人文研の福家先生は「活用していただけることが嬉しい」と仰っていましたので、今後様々な研究に活かされると良いですね。

そして、こちらは19日付け記事。7月14日付け京都新聞夕刊で大きく紙芝居『祇園祭』について紹介して下さった日山記者さんのコラムです。時代によって見方が変わるというのはありますね。

展示期間中にジッロ・ポンテコルヴォ監督『アルジェの戦い』を観ました。協力会事務局長だった堀昭三さん所蔵資料の中に、山本薩夫監督が京都市内の人物宛に差出した封書があり、その中にメッセージが残っていました。書き出しは「『祇園祭』が京都市民の力によって映画化されるというニュースを聞いて、私は大変勇気づけられております。これが実現すれば、昨年上映された『アルジェの戦い』に匹敵するものになると思います」と書いてありました。

1966年8月末に公開されたこの映画は、アルジェリアがフランスから独立するまでの戦争を描き、第27回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。日本では1967年2月25日、『祇園祭』同様松竹映配によって公開されました。独立を勝ち取ろうとアルジェリアの民衆が立ち上がる話は、権力にひるまずに自分たちの祭を再興しようと立ち上がる京の町衆の姿と、なるほど重なります。

林屋辰三郎述『祇園祭』(1953年、民科京都支部歴史部会製作、東京大学出版会)の後書きは「僕たちはなんのために歴史学を学んでいるのだろう」から始まり、「今からちょうど一年前、あれほどみんなで反対した単独講和条約と日米安全保障条約も批准され、日本がいよいよ植民地になったころのことです」と続きます。紙芝居『祇園祭』は国民的歴史学運動と共振して生み出されたもの。時代を反映した話は当時の人々に受け入れやすかっただろうと思います。

時代によって史観が変わるとしても、戦前の皇国史観に戻ることだけは止して欲しい。

今日は大型の紙芝居『祇園祭』オリジナル版を東京大学の安田講堂?で上演された尾幸江さんと電話で話しました。京大文学部日本史(国史)最初の数少ない女子学生さんで、同じように少なかった1学年下のイマイミチコ(旧姓宮下)さんと一緒に東京まで行かれました。今度お二人にお会いしてお話を伺う場を設けてくださることになりました。とても気さくな方で、お会いするのが今からとても楽しみです。

展覧会最終日の7月31日には、この紙芝居の中心メンバーだった故井ヶ田良治先生(日本の法史学者、同志社大学名誉教授)の次女憲子さんが見に来て下さいました。「よくこの紙芝居のことを話していましたが、絵を描くことがなかった父が、どこを手伝ったのかと思って」と仰っていました。残念ながら、日記などは書いておられなかったそうです。まだ先のことですが、尾さん、イマイさんとお会いする日時が決まったら、憲子さんにも連絡を差し上げようと思っています。その時までに、コロナの状況がマシになっていることをひたすら願うばかりです。

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