おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2021.12.08column

真珠湾攻撃から80年

今日は12月8日、日本軍のアメリカ真珠湾への奇襲攻撃に端を発した太平洋戦争の開戦から80年経ちました。

当館所蔵CASTLE NEWSの真珠湾攻撃の映像の1シーンです。今日の京都新聞夕刊にも攻撃を受けて炎上して沈むアメリカの戦艦の写真が大きく載っています。その横に、今年1月に亡くなった作家半藤一利さんが著書で書かれた言葉「国民的熱狂をつくってはいけない。その国民性的熱狂に流されてしまってはいけない」を紹介し、「外交関係での緊張の高まりはナショナリズムを高揚させ、強硬な主張が勢いを増す恐れをはらむ。その危険性を知り抜いた作家が残した言葉だ」と結んでいます。

ここ最近、戦争に関する番組が多く、録画するのに忙しい毎日です。満足に見る時間がないのが口惜しいですが、見て、聞いて、知らねばならないという気持ちだけは強く持っています。

この夏、「京都原爆展を成功させる会」と(一社)アジア南太平洋友好協会の協力を得て、戦後76年、戦争パネル展「戦争の真実」を開催しました。その期間中の様子をブログで書きましたところ、10月15日付けで「京都原爆展を成功させる会」発行の「原爆と戦争展ニュース」で紹介して下さいました。

このニュースは全6頁からなり、その間に上掲1頁を挟んで、250部印刷。京都府下中心に同団体の20年間の賛同者名簿から最近の方、カンパやポスター他で動いて下さった方、学校や施設にも報告としてお配りされているそうです。最低年2回は発行されていて、ざっと40号。今回の特集には9月初めに京都市南区の唐橋公民館で開催された展示と期間中に戦争体験を話して下さった3名の方の内容を紹介しています。初日は亀岡市の黒田雅夫さんの「満蒙開拓団 引揚げの体験」。昨夏、当館でお話をして下さったことが、この日の講演に繋がりました。

黒田さんは11月27日立命館大学朱雀キャンパスでも、経済学部細谷亨准教授の授業に招かれ、初めて大学生さん相手に講演。若い方が、熱心に聞いて下さったことをとても喜んでおられました。

講演後の記念写真。黒田さんを中心に昨夏「『満洲国』って、知っていますか?」で知り合った人々と。手前の布製リュックは、家族を失った8歳の黒田さんがたった一人で満洲から引き上げてきたときの物。満洲で亡くなったお母様の写真と一緒に。「人が自分らしく生きる最低限の権利すら奪っていく戦争。その記憶を風化させないために」と数年前から「語り部」をされています。

二日目は小倉勇さんの体験談「戦争孤児となって」。この日は私も聴講したのですが、最初にお会いした8月8日のことを、こちらで書きました。三日目は当初予定していた方のピンチヒッターとして宇治市にお住まいの高林實結樹さん(今年90歳)が「こども時代の戦争体験と戦中派の悲劇」と題してビデオ通話でお話しされました。直接聴講していませんが、お書きになられた冊子『次世代に伝えたい 私の戦時体験』を頂戴し、展示に加えさせて頂きました。「戦争反対は、絶対に言い続けなければならない、と固く思っている。私の遺言だ。皆様にお読み頂きたい」と結ばれています。お読みになりたい方はFacebookをされていますので、お問い合わせ下さい。

2019年12月8日は「映像を通して平和を考えるPart2」として「ブラジル移民と満洲移民送出の背景を探る」と題して、近畿大学工業高等専門学校の田中和幸准教授に「ブラジル移民を促すために用いた幻燈種板の発見」講演、大阪大学大学院准教授の安岡健一准教授に「国策と夢のはざまで」講演をして頂きました。ついでに、私もブラジル移民政策と満洲移民政策の両方に幻燈師として関わった人物について長野県で調べてきたことを報告させて頂きました。12に分けて振り返りを書いています。お時間があるときにお読みいただければ嬉しいです。

今日の京都新聞夕刊に、私の振り返り記事にも登場する長野県飯田市にある「満蒙開拓平和祈念館」事務局長三沢亜紀さんが載っていました。訪問した折には、所蔵する「満洲三江省樺川千振原種圃」の映像冒頭に大きく映し出された軍人の遺影が、「満蒙開拓移民の父」と呼ばれる「東宮鐵男」だと知らず、三沢さんに教えて貰って初めて知った恥ずかしいくらい無知な私でした。今は、そのご遺族で「群馬満蒙開拓歴史研究会」を主宰されている東宮春生さんと繋がっています。

コロナ禍がもう少し鎮まって安心できる世の中になったら、一番に、満蒙開拓団として入植され、ソ連軍侵攻により命からがら千振から戻られた後、那須高原に再入植して開拓された千振と、群馬県の東宮さんを訪ねたいと思っています。それからもうお一人、黒田雅夫さん一家が所属した廟嶺京都開拓団の人々が引揚げ後に再入植された京都市北区の原谷にも経験を話して下さる方がおられますので、その方もお訪ねしたいと思っています。

年々戦争経験者が少なくなっていますので、今のうちに出来るだけお話をお聞きしたいです。来年8月は、唐橋公民館で知り合った方のご協力で、シベリア抑留に関する展示を計画しています。何か情報がございましたら、ぜひお聞かせください。よろしくお願いいたします。

 

 

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