おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2018.06.05column

サイレント映画ピアニスト、柳下美恵さん

つい先日、親しくさせてもらっているサイレント映画ピアニストの柳下美恵さんがお書きになったFacebookの記事で、素敵なニュースを知りました。今年もイタリアのボローニャ県ボローニャ市で開催される「第32回ボローニャ復元映画祭」から、6月23日~7月1日の全日程レギュラーピアニストとして正式なオファーが届いたのだそうです。「通い続けて8年…最初はせっかく来たから弾いていって…と誘われて少しだけ。でも弾けない年もあって、もう今年で最後にしようと思っていました。こういうのを苦節10年というのかな?プレッシャーも大きいけど、なんとか乗り切りたいです。」と綴っておられます。思いが叶って本当に良かったなぁと思います。今年の映画祭のサイトはこちらからどうぞ。

1986年に創設された「ボローニャ復元映画祭」の正式名称「IL CINEMA RITROVATO」を直訳すると、「映画再発見」に。サイレントやモノクロ、当時余り評価されなかった作品などを、なるべくオリジナルな状態で鑑賞することにこだわっていて、そこに、2004年から「復元映画祭DVD賞」も加わりました。30年以上前の映画(今年なら1988年まで)を対象に、この1年間(前年2月~当年2月)で、最も価値のある復元・修復をして発売したDVDまたはBlu-rayに対して贈られる賞です。

ボローニャには、「チネテカ・ディ・ボローニャ」という映画保存・修復の公的機関があり、「ボローニャ復元映画祭」はここの主催。また、「リマジネ・リトロヴァータ」という映画修復ラボもあり、街ぐるみで映画祭を支援しているそうです。年々国内外から参加者が増え、さながらボローニャは映画復元の聖地として世界中の映画関係者、ファンから熱い視線を注がれています。

柳下さんは、ピアノ伴奏のみで上映する欧米式サイレント映画伴奏者の日本に於ける草分け。じゃ、日本式は?と問われれば、話芸が発達していましたので、活動写真弁士さんの説明と楽士さんによる演奏付きで上映していました。欧米式サイレント映画では、台詞や説明がない分、出演者の表情や状況だけで観客がわかるよう作られていました。

 イタリアには、もうひとつ北イタリアのポルデノーネで開催される「ポルデノーネ無声映画祭」という大きな映画祭があり、今年こそ当館で発見された小津安二郎監督『突貫小僧』(1929年公開)が上映されたら良いなぁと願っています。無声映画は古い時代につくられたものですが、音やCGなどの技術に頼らずとも、観る人を魅了する様々な創意工夫に満ちています。

今年の「ボローニャ復元映画祭」での柳下さんの活躍を大いに期待しましょう。そして、土産話をお聞きするのを楽しみにしています。

柳下DVDジャケット20170627_0001A (2) - コピー

これは、昨年正会員とサポーター会員の特典として作ったDVDです。100均で購入したおもちゃ楽器なども用いて効果音を演出しながら、録音した昨年2月のことを懐かしく思い出します。

誠に恐縮ですが、このDVDは販売しておりません。正会員・サポーター会員になっていただければ、お送りいたします。詳しくは、こちらをご覧ください。ひとりでも多くの皆さまに応援していただき、楽しんでもらえることを願っています。よろしくお願いいたします。

記事検索

最新記事

年別一覧

カテゴリー