おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2018.06.09column

是枝裕和監督インタビュー記事から

今年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドール賞を受賞した「万引き家族」が昨日6月8日から公開されたので、早速昨夜20時45分からの回で観てきました。昨朝のNHKラジオ「すっぴん!インタビュー」のゲストが是枝さんだったこともあり、番組で話題になった取調室での安藤サクラさんの泣く場面に、思わず身を乗り出してしまいました。正確な文言は忘れましたが、撮影現場スタッフの人が「この場面に立ち会えたことが幸せだった」と言われたそうですが、その思いが本当に伝わってくる名シーンでした。

安藤サクラさん自身昨年1児の母になり、どこかの記事で「(撮影中は)溢れる母性と母乳を抑えるのが」と書いてあるのを読みましたが、リリー・フランキーさんが連れて帰ってきた女の子の服を縁側で燃やしながらギュッと抱き締めるシーンは、きっと演技しながら愛しいという思いで一杯だったのだろうなぁと、観ているこちら側も胸が一杯になりました。

観るまでは、食うや食わずの切羽詰まったひもじさから万引きをするのだろうと勝手に想像していましたが、食事する場面が多くあり、大人たちは仕事をしていないわけでもなく、祖母の自宅でその年金を当てにしながら暮らしている家族という設定なので、ギリギリの切羽詰まった感があまり感じられず、少々違和感が付きまといました。その「家族」を構成するそれぞれの事情が肝なので、ここでは触れません。撮影は、大阪芸大映像学科卒業の近藤龍人さんがフィルムで撮った作品だというので、そこに注目して見てきました。さすがだなぁと思う場面がいくつもありました。

ところで、6月1日付け日経新聞文化面に是枝さんへのインタビュー記事が掲載されていました。内容に共感を覚えたのでFacebookとTwitterで紹介しました。

是枝A

Twitterに「今日の日経新聞文化面是枝裕和監督へのインタビュー記事に大変共感します。『やばいぞ、日本はアジアの孤児になる、という危機感』『(日本は)映画を文化としてとらえる素地が欠けている』『日本の若者は海外に意識が向いていない』『若い作家を育てるにはちゃんと文化助成の予算を確保すべきだ』と。」と最初に書きましたところ、こちらには、今現在545 人のリツィ―ト、979 のいいねがあり、大勢の人が是枝監督の考えに賛同しておられることがわかります。

Twitterには続けて「是枝監督が満映の話をいずれ撮りたいとおっしゃっているのも興味深いです。昨年11月23日に持永只仁アニメ人形展関連企画として『満映映画の崩壊と日中アニメのあけぼの』と小見出しをつけて、向陽監督『大地のキネマ』を上映し、縁のある3人のトークをしました(詳細はこちらをご覧ください)。是枝監督の作品もぜひ拝見したいです。」と書きました。こちらのリツィ―トは28人、いいねは23人ですが、今「満映」という言葉自体ご存知ない人も多いと思われる中、これだけの人がリツィ―トしてくださったのは嬉しいです。Facebookの反応はごく僅かでしたが、こちらにはフランスの保守系有力紙の記事のリンクも貼りました。https://hbol.jp/167063/2 

昨日、満映で活躍した人形アニメーション監督持永只仁さんのご息女、伯子さんから電話をいただきましたので、是枝監督が「満州映画協会の話を映画で撮りたい」とおっしゃっていることをお伝えしましたら、とても喜んでおられました。5月23日付けで、持永只仁さんについて研究論文を書こうとしているイェール大学大学院ジェイソン・コディ・ダグラスさんのことを紹介しましたが、ジェイソンさんと、その先生であるアーロン・ジェロ―さん、日本の映画・アニメーション・マンガに詳しい小野耕世さんの3人が6月4日に持永家を訪問されたことを、ジェロ―先生のFacebookで知りました。

表札 (部分) - コピー

そのFacebookに載っていた「持永只仁」と彫られた表札の写真を拝借しました(部分掲載)。伯子さんにお聞きしたところ、持永只仁さん自ら彫られたのだそうです。ジェロ―先生は「子どもの頃『ルドルフ赤鼻のトナカイ』<1964年>『マッド・モンスター・パーティ―』<1967年>などを見て育った」と話されて、とても感激しておられた様子だったとか。伯子さんはジェイソンさんとは3日間ご一緒だったらしく、彼の熱心な取材の様子が垣間見えます。いずれは、当館でも「発表する」と伯子さんにも話したとか。彼は日本語、中国語にも長けていて、これから先の研究も含め、優れた論文が書き上がることを、今からとても楽しみにしています。

伯子さんやジェイソンさんを通じて、今、持永只仁研究者が世界各地に現れていることを知りました。どちらかといえば、これまで埋もれていた感がある持永さんですが、ようやく光があたってきたように思われ、僅かばかり縁を得た者として、とても嬉しく思います。こうした動きが契機となり、持永さんや川本喜八郎さん、岡本忠成さんらの作品をご覧いただく機会がどんどん増えていけば良いなぁと願っています。

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