おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2015.09.22column

尾上松之助さんと依田義賢先生の肉声

気持ちのいい秋空が広がっています。休館日の今日、久しぶりに美術展を楽しんだ後、映画の世界に浸ろうかと思います。京都文化博物館で開催中の「レオナルド・ダ・ヴィンチと『アンギアーリの戦い』展」は人出も多いのでしょうが、次にいつ自由に出歩けるかわからないので、可能な時に見ておくことに。映画は3階で10月18日まで開催中の「脚本家 依田義賢の世界」へ。本日の上映は「山椒大夫」(1954年、大映)。この作品の監督も世界的に知られる溝口健二さん。依田先生は、「浪華悲歌」以来、20年近くにわたって溝口監督の脚本を書き、その全盛期を支えました。他にも伊藤大輔監督、内田吐夢監督、今井正監督らとも組み、優れた作品を今に残しておられます。

当ミュージアムで開催中の尾上松之助展準備中に、尾上松之助遺品保存会代表の松野吉孝宅から「史劇楠公訣別」、”目玉の松ちゃん”の肉声が録音されたレコードが発見されました。「うわーっ えらいこっちゃ !」「あるところにはあるもんですね!」と内々に大騒ぎ。早速録音専門の知人に頼んでデジタル修復しました。

なお、尾上松之助展会場では、大西秀紀さんから提供していただいたレコード音源から「猿飛佐助」、「鍋島猫騒動」と共に、尾上松之助の肉声を聞いていただいています。

スキャン_20150920 (2) (2)DSCN9704その時、懐かしい依田先生の声が録音されたレコードも見つかりました。ジャケット表に記載された責任監修のお一人に、滝沢一(おさむ)先生の名前があるのも懐かしい。

DSCN9721DSCN9720「滝の白糸」の項目で、依田先生が語っておられます。5歳で父を亡くした連れ合いの父親代わりでもあり、師でもあった先生です。声を聞いた途端、依田先生と交わした言葉、その折の情景が目の前に広がり、懐かしさで胸が一杯になりました。弁友会の協力で録音されたこのレコードには、当時大活躍した活動写真弁士さんの名前が連なっています。ちなみに「滝の白糸」は、人気弁士の熊岡天堂さん。目を閉じて、静かに無声映画の世界に浸るのも良いものです。

今回の企画展で、このレコードと出会ったことは、私どもにとって望外な喜びです。

さぁ、今から文化博物館に行って、ヒューマニズムに溢れる依田先生の世界に浸ってきます。

それから、「脚本家依田義賢の世界」では、9月25日午後1時半と午後6時半に「元禄忠臣蔵 前編」(1941年、興亜・松竹作品)、26日午後1時半と午後5時に「元禄忠臣蔵 後編」(1942年、松竹下加茂作品)が上映されます。いずれも監督は溝口健二さん。今回見つかった松之助さんの「実録忠臣蔵」と比べて観るのも面白いかもしれません。

 

 

 

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