おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2019.04.02column

「ストップモーション アニミズム展 in KYOTO」の前半振り返り~ワークショップ

3月30日あいにくの小雨模様でしたが、予定通り14時半から35㎜フィルムを使ったアニメーション作りのワークショップを開催しました。せっかくの機会ですので、ワークショップの前にも出展作家さんの作品上映会をしました。

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香港からお越しいただいたAnniie Sitさん。ワーキング・ホリディで昨年12月から今年12月まで日本に滞在で、香港では映画の美術の助手をしているのだそうです。そうと知って、東映映画美術ベテランたちがボランティアで古い京町家を改修して下さった箇所をあちこち案内しました。大工さんの仕事とは、ちょっと趣が異なる面白さ、工夫があります。彼女は建物に大変興味を持ってくれました。

香港では毎月映画のプログラムが展開されていて、とても活気があるそうです。例えば5月フランス映画祭、夏の映画祭、9月ドイツ映画祭、中国のプログラムもあり、香港のアーカイブの映画も毎月上映され、お年寄りに人気があるそうです。日本は映画館離れが進んでいるようで、お話を聞きながら、羨ましく思いました。もちろん、彼女にも「ストップアニメーション・アニミズム展」と作品上映もご覧いただきました。彼女と入れ違いに、アメリカからお越しになったご夫妻にもご覧いただきましたが、どちらかといえばこうした機材に関心をお持ちでしたので、映画上映中と言えども、常設展も見てもらえる今回のやり方は正解だったと思います。

さて、14時半になりました。今回は本物の35㎜フィルムを用いて、自分だけのアニメーションを作り、それを上映して、生演奏付きでみんなで見てみようとというワークショップです。DSC09883 - コピー

 通常は写真の100コマで販売しているフィルムを使うのですが、今回はその半分の50コマで用意しました。手回し映写機で回すと2~3秒と、あっという間に終わってしまいますが、スプライサーで輪状に繋いで装填すると、クルクル回して何度でも繰り返し見て楽しむことができます。DSC09226 (2)

当初予約先着10組限定としていましたが、結局見学のみも含めて12組が参加、作品数16という盛況ぶりでした。上掲写真左端におもちゃ映写機の一部が写っていますが、これを用いて映写します。司会は今回催しの幹事役河野亜季さんと坂上直さんです。

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そして、出来上がった作品に音楽を付けてくださる廣安正敬さん(4期)と、オープニングに続きワークショップも手伝いに来て下さった渡辺栞さん(9期)。上掲写真は、現在、国立環境研究所に勤務されている廣安さんが、上映作品『失われた空の下で二人』で使用した展示品を指しておられるところ。原子力エネルギーの是非を問う作品です。渡辺さんの作品は、前回ブログで紹介しました。京都造形大学でご活躍なので、これからも力を貸して欲しい存在です。

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最初に、どのようなものを作るのか知って貰おうと、おもちゃ映写機の操作体験から。その後、予め描くものを考えてきたグループと、今から考えるグループに分けました。2グループに共通しているのは、廣安さんの提案で作品のどこかに桜の花を描くこと。これは本当に良いアイデアでした。

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こちらは今から考えるグループ。

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そして、こちらは前もって考えて来たグループ。残念ながら写真には写っていませんが、ミュージアムに一番近い朱雀第一小学校の新6年生の西村竜輝君と徳山大斗君も来てくれました(下掲写真一番左と左から3人目)。21日おもちゃ映画の体験をした時に、面白がってくれたので、「来てね」と誘ったけど、本当に来てくれて、最高に嬉しかった‼

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22日付けブログで書いて、SNSでも「チャンバラって何って聞かれちゃいました」と彼らのことを呟きましたら、「テレビで時代劇が少なくなったからなぁ」と結構反響がありました。「じゃ、チャンバラって言わないなら、何て言うの?」とフィルムに絵を描いている二人に尋ねましたら「『戦う』っていうけど、『チャンバラをする』ともいう」と返ってきました。「良かった、まだ通じる」と私が言いましたら、隣の女性(40代)が「先日『道草を食う』っていう言葉を知らなくて、カルチャーショックを受けました」と仲間入り。「でも、どうして『道草をする』ではなくて『道草を食う』ってなったのかしら?チコちゃんに聞いてみなきゃね」と私が懲りずに口を挟んで、作業をする皆さんの邪魔をしてしまいました(答えはネットで調べて簡単なことでした(-_-;)。

DSC09242 (2)それぞれ真剣に「世界にたった一つ、自分だけのアニメーション作り」に取り組んでいます。

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一番、二番に描き終わった竜輝君と大斗君は早速スプライサーで輪状に繋いで、おもちゃ映写機で上映。

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映写機を手回しして映写しながら、スマホで撮影しています。後でわかったことですが、油性ペンが完全に乾ききっていない状態で装填したか、フィルムの表と裏を間違えて描いたか、あるいは機械の手入れが不十分だったからかもしれませんが、フィルムに筋が入ってしまいました。回転しているうちにインクを葺きとったのかも。二人には申し訳なかったのですが、失敗を今後の経験に活かします。

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 綺麗に描ききりました。この後、フィルムをスプライサーで繋ぎ、

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おもちゃ映写機に装填して、手回しで上映し、紙芝居屋さんをされているおばあ様がスマホで撮影。みんなもワクワクしながら小さなボックス内側に写るアニメーションを覗いています。この方の赤いスマホケースに緑色のものが見えますが、それは、、、

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四つ葉のクローバーです。「ここには、四つ葉のクローバーがいっぱい生えている!」と参加者から教えて貰いました。昨年シンデレラコレクターの川田雅直さんからクローバーの種が入った缶をプレゼントして貰いました。それを大切に育てて、上手くいけばグランドカバーになればと思って見守っていたのですが、葉っぱまで観察していませんでした。「皆さん、幸せになってください。欲しい方はどうぞ摘み取ってお持ち帰りください」と声かけをして、幾人かの人がお持ち帰りになりました。楽しいサプライズ、でした。

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帰宅を急ぐ人がおられたり、作業途中の人もおられたりで、完全に1本に繋いで観ることはできませんでしたが、リールで巻きとった長いフィルムを映写機にかけながら、 大きなスクリーンに映し出し、それに廣安さんがピアノ演奏して下さいました。狭い場所で、いつもと勝手が違う操作で部品も異なり、マゴマゴして、皆さんをハラハラさせてしまう場面もありましたが、無事に終了して何よりでした。

皆さん「とっても楽しかった!!!」と仰ってくださったり、廣安さんも「今日やったような体験は、もしかしたら、ここでしかできない特別なこと。手間暇をかけて映像を見る貴重な体験ができたことを忘れないで欲しい」と話して下さったことも嬉しく思いました。それぞれの作品に、廣安さん提案の桜が描かれていました。桜の花を見れば、2019年3月30日のアニメ―ションワークショップのことを思い出して貰えたら凄く嬉しい。撮影した16作品は、この後、廣安さんが編集して音楽も付けてくださってYouTubeにアップして下さいました。題して「アニミズム・パーティー 16」。素敵な桜満開の日の思い出として、いつまでも記憶に残ったら嬉しいです。音楽が優しい音色なのが、廣安さんらしいと思いました。編集作業、大変だったでしょうね、ありがとうございました。

 お集まりくださった皆様全てに、心より御礼を申し上げます。ありがとうございました!!!!!

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