おもちゃ映画ミュージアム
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2020.07.29column

8月の企画展「『満州国』って、知っていますか?」始めました!

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 京都新聞の情報欄で掲載していただきました。今日から、8月の企画展「『満州国』って、知っていますか?」を始めました。

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この企画は、昨年12月8日に開催した「ブラジル移民と満州移民送出の背景を探る」を契機に思い付きました。その時の振り返り記事は4回に亘って書きました。講師の田中和幸・近畿大学工業高等専門学校准教授の講演はこちら。安岡健一・大阪大学大学院准教授の講演はこちら。そして私の発表はこちらこちらに書きました。長文で恐縮ですが、お手すきの折りにお読みいただければ嬉しいです。

12月8日の催しにもブラジル移民や満州移民に何らかの関係がある参加者が幾人もおられましたが、同時期に開催していた「戦争プロパガンダ展」をご覧いただいた方から「子どもの頃満州から引き上げてきた」という体験談をお聞きする機会が幾度もありました。私が思っている以上に「満州」についての思い出を胸の内にしまっておられる人がたくさんおられるのだと感じました。

DSC03849 (2)展示内容については、狭い場所でもありますし、多くの項目を展示するのは無理ですので、せめて「満州」について知らない人たちに、学び始める最初の1歩になれば良いなぁと思って、資料を集めました。興味を持って下さることが一つでもあれば、そこから自分の学びを深めて貰えたら嬉しいです。

茨城県水戸市内原町の「内原郷土史義勇軍資料館」から写真集をお借りし、その複写したものをファイルにいれて展示しています(右端に写るコーナー)。全国各地から送り出された数え年16~19歳までの少年達が内原で農業と武器の訓練を受けて大陸へ渡っていきました。ソ連国境近くで、まだあどけない表情の少年が、銃を構えて一人警備している姿から、何を思われるでしょう。

毎日新聞の公文書に関する連載で、農業移民養成のための「東京府拓務訓練所」の記事を読んだことから、東京都日野市程久保にある日野市郷土資料館にも連絡をして、写真をお借りしました。入所資格は二十歳の徴兵検査を終了したものから45歳までとなっていますが、実際には戦争による転廃業者ら多くの失業者が、新天地を求めて満州に渡ろうと、農業訓練や武器の訓練、満州の生活習慣などについて学んだ後、渡っていきました。こうした訓練所は、各都道府県にありました。つい最近、京都府南部の井手町多賀新田にもあったことがわかりました。

今年1月21日付け京都新聞で紹介された太田垣幾也さんが、満州開拓団の一員として満州に渡ったお姉様、かじ子さんの話を纏められた小冊子も展示しています。また、7月25日付け京都新聞で紹介されたばかりのろうけつ染め職人だった勝見文平さんが、生前綴られた「南満無宿放浪記」についても、長女の北本様に連絡をして、その冊子をお借りすることにしました。コピーをして、それも自由にご覧頂こうと思っています。「多くの人にご覧いただけたら、父の供養にもなる」と言って下さいました。

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昨年12月の「戦争プロパガンダ展」でポスターや冊子を展示してくださった河田隆史さんとお友達の中西幸男さんから、このコーナーの貴重な資料をお借りしました。最初の写真に写る「満州国国旗」(複製)も中西様からお借りしました。展示には、河田さんに随分助けて貰いました。

立命館大学国際平和ミュージアムからも1セット資料をお借りしました。国内で初めて分村して「満州」に移民した長野県の旧大日向村(現在の佐久穂町大日向)を描いた紙芝居で、作家の和田伝(つとう)(1900〜85年)が1939年に書いた小説「大日向村」を基にしています。わずか2年間で、村単独で200~300戸を満州に移住させ、満州大日向村を建設。満州移民促進に大いに貢献したことから、小説、紙芝居だけでなく、劇団前進座の新劇「大日向村」、東宝映画『大日向村』(1940年、豊田四郎監督)も作られて、全国の模範として大いに喧伝されました。8月23日の「満州国」をテ-マにした茶話会で、紙芝居を披露できたらと思っています。

紙芝居は、太田垣さんのご紹介で知り合った荒木明夫さんからもお借りします。京都府南部にお住まいの中国から引揚げて来られた男性の体験を描いた「やっちゃんと3人のお母さん」で、とても大きな紙芝居です。枚数も多い大作なので、その中から幾枚かを選んで、23日のワークショップで披露できればと思っています。

等々、繋いでいただいた人の縁を頼りに、小さな企画展「『満州国』って、知っていますか?」を8月30日まで開催します。COVID-19の勢いが止まらず、出歩くのも心配な世の中ですが、もしもお近くに来られる機会がございましたら、この期間中にぜひ見にいらしてください。戦後75年、「満州」をテーマに平和についてお話ができたら嬉しいです。

8月1日は、靖国合祀取消訴訟原告団メンバーの松岡勲さんの講演「靖国を問う~遺児集団参拝と強制合祀~」をします。戦前、戦後だけでなく、三度こうしたことが起こらないよう、松岡さんの活動を通して、一緒に考えましょう。ご参加をお待ちしております‼

なお、午前中は学生映画を上映しておりますので、展示見学を目的に来館いただく場合は、正午から17時の間にお越し下さいませ。どうぞ、よろしくお願いいたします。

満州国って知っていますかA - コピー【7月31日追記】

文中に書いた勝見文平さんの、「満州」からの1年以上の逃避行の末、京都市の実家に帰還した回想記をお借りしました。

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コピーをして、お手にとってお読みいただけるようにしました。

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もう一人、今日の京都新聞に大きく載っていた黒田雅夫さんにも連絡をしました。8月23日「満州」をテ-マに茶話会をするときに参加して下さることになりました。当日は絵も持参してくださるそうです。これまで、何千人もの子ども達にお話をしてこられたそうです。「一人でも聞いて下されば嬉しい」とおっしゃって下さいました。体験者のお話を直接聞ける貴重な場になります。

お声がけした皆様が快く賛同して下さり、こんなに嬉しいことはありません!!!!!

 

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